「直角三角形の斜辺を、計算によって求める」 第十一回 直角三角形の斜辺を、計算によって求める

単元

直角三角形の斜辺を、計算によって求める

本時の題材

直角三角形の斜辺を、計算によあいさつって求める

メインとなる問題

底辺4cm、高さ3cmの直角三角形の斜辺の長さ

■メイン問題の設定理由■

この単元、最後のクライマックスとなる問題。ずっと面責について学んできたが、それは三平方の定理を具体的な数値で理解することを目的としていた。代表的な整数値の直角三角形、底辺3cm、高さ4cm、斜辺5cmにて、底辺と高さのみ与えられている状態から、斜辺の5cmを導き出す。

これまでの授業で、長方形、平行四辺形、三角形の面積公式を理解し、演習問題にて、辺の長さが直接与えられておらず、まず辺の長さを求めてから面積を導くものについても触れた。また、二つの図形が合わさったものの面積は、それぞれの図形の面積を足したものであることも確認している。それもこれも、三平方の定理につなげるため。これまで学んだことを動員して、三平方の定理に触れる。ここを最終的な目標としていた。

ねらい(この授業で伝えるべき一つのこと)

解説を聞き、全員が「ほんまや!」と、5cmになることを納得する

■"ねらい"の設定理由■

一般的な三平方の定理を証明するためには、文字式を用いる必要がある。が、文字式は学んだことがないので、三平方の定理のもつ普遍性を感じることは難しい。なので、納得することをねらいとし、計算によって辺の長さが求められることを感じてほしい。

どんな直角三角形でも三平方の定理が成り立つという証明では、なかなか三平方の定理を「なるほどー」と納得したり、「ほんまや!」と実感することはおそらく難しい。なので、”ねらい”を「理解」まで結びつけることではなく、斜辺が導き出せることを実感し、その計算や図形の見方に納得することとした。

納得するためには、順序立てて考え、一つ一つを理解し、組み立てていく必要がある。こちらが主体で組み立てていくことになるが、その流れを理解し、論理的に考えることに触れてもらう。

授業の板書と流れ

あいさつ、5分間の計算

メインの問題の提示

今日は、2000年以上前から変わらずにずっと存在する、一つの式について伝えること、今回はぼくがペラペラとたくさんしゃべること、問いかけに答えながらついてきてほしいことを伝える。

三角形の画用紙を用いて、今回のメインの問題「底辺3cm、高さ4cmの直角三角形の、斜辺の長さはいくらか?」を提示する。

あてずっぽうでいいので、何cmになると思うか聞く。「どれになるやろねー」とどれが正解か探りながらついてきてほしいことを伝える。

必要な知識の提示

必要な三つの基本的事柄を確認する。

1、長さについて

2、面積について

3、正方形の面積と辺の長さについて

面積から辺の長さを求めることができる

この三つと、あとは面積を求めることができれば、今回の?の部分の長さは求められることを強調する。ちなみにこれらはすべて既知の事柄。

メインの問題を解説する

先に提示した直角三角形を用いて、斜辺と等しい長さを辺の長さにもつ正方形を作図する。

正方形の面積がわかれば、辺の長さが求まることを確認し、今から正方形の「面積」を求めていくという方針を理解させる。

正方形に三角形を敷き詰めていく。真ん中にできるのは正方形で、正方形も埋め合わせる。

三角形4つと、小さい正方形一つでぴったり敷き詰められることを提示し、三角形4つと正方形一つの面積を足せば、大きな正方形の面積になることを確認する。

三角形の面積を求める。

小さい正方形の辺の長さを、「必要な知識1」を利用して求める。

小さい正方形の面積を求める。

ここで、はじめからの流れを一度確認する。

大きな正方形の面積を、4つの三角形と小さい正方形の面積を足し合わせて、求める(「必要な知識2」)。25㎠になることを計算する。

「必要な知識3」より、正方形の辺の長さは5cmであることを求める。

大きな正方形の辺の長さと、三角形の求めたい辺の長さが同じであったことを確認し、答えは5cmと求めることができたことを解説する。

解説と同じ流れをなぞる、穴埋めプリントに取り組む

机間巡視し、手が止まっていれば、一つ一つを確認しながら解説する。

使用プリント

20151217_数5G_直角三角形の斜辺を計算で求める.pdf - Dropbox

振り返り

■今回の評価できる点は?■

三角形の求めたい辺で正方形を作図して、そこに三角形を敷き詰めていく、という流れ。

■今回の改善点は?■

解説主体の授業で、みんなの集中が続かなかった。

難しい内容をかみくだいて提示することで、理解を引き出そうという意図だったが、難解に感じる生徒が多く、やる気をそいでしまった。

伝えたいことがあったものの、それを伝わる形で提示することができなかった。

みんなの反応が悪すぎて、ちょっとうろたえ、悪い雰囲気を打開することができなかった。

室温が少し高く、ぽかぽかしていたので、眠気を誘いやすい環境になってしまっていた。

◆今回の「教訓」◆

環境への気配りは大切。

「やる」活動を授業内に含めたほうが、集中を引き出すことができる。解説をメインでしたい授業であっても、どこかで実際に手を動かす活動を入れるべき。